特定健診・特定保健指導では、内臓脂肪型肥満に着目し、その要因となっている生活習慣を改善するための保健指導を行い、糖尿病等の生活習慣病の有病者・予備群を減少させること(病気の予防)を目的としています。生活習慣病は自覚症状がないまま進行するため、健診は個人が生活習慣を振り返る絶好の機会と位置づけ、行動変容につながる保健指導を行います。
特定健康診査(特定健診)は、内臓脂肪型肥満に着目した、生活習慣病予防のための保健指導を必要とする人を選び出すための健診です。健診項目には、内臓脂肪の蓄積状態をみるために腹囲の計測が含まれるなど、特定保健指導の対象者を的確に抽出するための検査項目が導入されています。
対象者は40歳以上75歳未満(年度途中に75歳に達する人を含む)の加入者で、被保険者だけでなく被扶養者も対象となります。慶應義塾に在職の被保険者は、事業主が行う定期健康診断を受診することで特定健診を受診したとみなされます。
特定健診の結果をもとに、内臓脂肪蓄積の程度とリスク要因の数に着目して、リスクの高さに応じて、レベル別(「動機付け支援」・「積極的支援」)に特定保健指導の対象が判定されます(階層化といいます)。
特定保健指導は、階層化により「動機付け支援」「積極的支援」に該当した人に対して実施されます。
特定保健指導の目的は、対象者が自分の健康状態を自覚し、生活習慣の改善のための自主的な取り組みを継続的に行うことができるようにすることにあり、対象者が自らの生活を健康的なものに改善できるよう、専門家からさまざまな働きかけやアドバイスを行います。
生活習慣の改善を促すため、原則1回の支援が受けられます。
医師、保健師、管理栄養士らの指導のもとに行動計画を作成し、生活習慣改善に取り組めるように、専門家が原則1回の動機付けのための面談を行います。6ヵ月後に計画どおり効果が出ているかなどを評価します。
3ヵ月以上、複数回にわたっての継続的な支援が受けられます。
医師、保健師、管理栄養士らの指導のもとに行動計画を作成し、生活習慣改善に取り組めるように、専門家が3ヵ月以上の定期的・継続的な働きかけを行います。6ヵ月後に計画どおり効果が出ているかなどを評価します。
今回の健診結果から今の状態を把握し、この機会に健診結果の見方や生活習慣病に関する基本的な知識を得て、健康な生活を送るための生活習慣の見直しや改善のきっかけとしてください。
健康保険組合の財政にも影響が!
75歳以上の人を対象とした後期高齢者医療制度に、各医療保険者は「後期高齢者支援金」を拠出しています。
この支援金額は、「特定健診の実施率」「特定保健指導の実施率」「メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少率」によって、プラスマイナス10%の範囲内で、増額または減額されます。
被保険者および被扶養者のみなさんが特定健診を受け、特定保健指導の対象になった場合には保健指導を受けること、そして特定保健指導の対象から卒業することが、健保財政に少なからず影響を与えることになります。